広島大学大学院文学研究科では、文学・語学系の教員を中心として「文藝学校」と名づける活動を展開してきました。研究科の一人ひとりが個々に行う研究をわかりやすい形で一般の方々に聞いていただこうと、毎年1回開催。おかげさまで本年(2015年)13回目を迎えました。今年は初めて夏に開催します。皆様のお越しをお待ちしております。
第13回「文藝学校」講演会
●日時 2015年 7月19日(日) 10:30~17:00
●会場 本の学校 2階 多目的ホール
(鳥取県米子市新開2-3-10/TEL:0859-31-5001)
●受講料 無料
主催:広島大学大学院文学研究科/特定非営利活動法人 本の学校
共催:(株)今井書店グループ・(株)今井書店
第13回「文藝学校」講演会
演題1
10:40~11:35
多和田葉子-「言葉」は穴だらけ
「言葉」とは一体なんなのか。シンプルであるが故に難しいこの問題。本発表では、そんな「言葉」に常に向かい合い創作活動を行っている作家として、多和田葉子という方を取り上げます。時に翻弄され、時に置き去りにされ、それでもどこか惹かれてしまう彼女の小説の魅力についてご紹介できればと思います。
講師:小谷 裕香(広島大学大学院文学研究科博士課程前期修了:今井書店勤務)
演題2
11:40~12:35
三島由紀夫『金閣寺』と映画・演劇
今年は三島由紀夫の生誕90年・没後45年の周年記念の年にあたります。三島の代表作で、戦後の日本文学をも代表する小説『金閣寺』(1956年)を取り上げ、文学作品が含みもつ多様な可能性を考えてみましょう。『金閣寺』は時事的な放火事件に題材をとった小説ですが、それが今日なお読まれつづけているのはなぜなのか、『金閣寺』を原作とする映画や舞台を紹介しながら探っていきたいと思います。
講師:有元 伸子(広島大学大学院 日本・中国文学語学講座 教授)
演題3
13:30~14:25
『はらぺこあおむし』を英語で読む
この絵本は1969年に出版されて以来、あおむしの可愛らしさと色彩の美しさに世界中の子どもたちのみならず、親たちまでも魅了されてきました。かくなる私もその一人でしたが、あることに目がとまった時から「絵」以上に「本」に興味をかきたてられました。あることとは、この絵本の中に出てくる英単語なのです。その一語から『はらぺこあおむし』を読み込んでみたいと思います。さあ、その単語は一体何でしょうか?
講師:今林 修(広島大学大学院 欧米文学語学・言語学講座 教授)
演題4
14:30~15:25
奥書から古典を読む―定家筆『土佐日記』・『更級日記』の場合―
普通、文学作品は本文(テキスト)を読んでその作品世界を楽しみます。しかし、古典作品にはもう一つの楽しみがあります。写本に添えられた奥書によって、その作品の伝来や書写の事情を知ることができるのです。古典には作者だけでなく、それを伝えた者の思いも詰まっていることがわかります。藤原定家が書写した『土佐日記』と『更級日記』の奥書を例にして、そのことを実感していただきたいと思います。
講師:妹尾 好信(広島大学大学院 日本・中国文学語学講座 教授)
演題5
15:30~16:25
サルトル「壁」―<実存>について考える
「サルトル」というと難解な印象を持たれるかもしれませんが、小説や戯曲といった文学作品はさほど難しくはありません。今回はサルトルの短編「壁」(新潮文庫『水いらず』所収)をご紹介しながら、「実存は本質に先立つ」という有名な言葉が、いかに巧みにイメージ化されているのかを見ていきます。あわせて<実存>についても考えてみます。
講師:松本 陽正(広島大学大学院 欧米文学語学・言語学講座 教授)
懇談会
※講演会終了後、受講者との懇談会(進学相談可)を持ちます。
■お申込み・お問い合わせ先
NPO法人 本の学校
TEL:0859-31-5001
FAX:0859-31-9231
E-mail:b-schule@imaibooks.co.jp